金属錯体によるガス分子分離貯蔵システム開発

【特定研究部門】金属錯体材料研究のイニシアチブをとり、早期の事業化を目指す

野呂 真一郎 准教授
北海道大学 電子科学研究所

近年の石油価格高騰や将来の枯渇に対応し、石油以外の原料から燃料や化成品の製造技術を確立することは、我が国に取って喫緊の課題となっています。シェールガス(頁岩(シェール)層から採取される天然ガス)や水を原料とする水素ガスは代替原料候補であり、高効率炭化水素分離はシェールガスから化成品原料となる高品位不飽和炭化水素の省エネルギー製造に、また室温水素貯蔵は水素のインフラ構築に不可欠な技術です。

我々は、極めて高い構造設計性と多様性を兼ね備えた金属錯体を分離・貯蔵材料として用い、シェールガス・水素ガスを高効率に利用するための分離・貯蔵プロセスを開発し、並行して実用化を念頭においた成形加工技術開発を進めていきます。

一昨年の原発事故以降、原発稼働停止による電力不足などエネルギー問題対策が急務となっています。したがって、現状よりも高効率(低額投資、簡便、省エネ)な分離・貯蔵プロセスを構築できれば、その社会的インパクトは極めて大きなものになります。

本プロジェクトは、電子科学研究所の野呂、理学研究院の武田教授、中央大学の張教授を主メンバーとし、理学研究院の基礎研究と電子科学研究所の応用研究を融合させることにより、北海道大学において金属錯体材料研究のイニシアチブをとることを目指します。また、早期の事業化を実現するために民間企業と積極的に共同研究を展開する予定です。

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