「講義を終えて」・・・スキルアップセミナー⑦「読む読まないはタイトルで決まる。」講師 佐々木葉子氏より

講義を終えて

 今回の講義のテーマは、「一般の方に、専門的な文章を読んでもらうためのタイトルの作り方」。当日は、「主役は受け手であることを認識すること」「言いたいことはひとつに絞ること」「タイトルの文章のリズムを整えること」の3点に絞ってお話しました。

 レクチャーをひと通り行った後、北海道大学の2名の教授が書かれたエッセイに、タイトルを付ける演習を行いました。一篇は、フロントガラスの構造を改良するヒントは、卵の殻にあったというエピソードを解説し、「人工物が洗練されてくると自然物に似てくる」との金沢大学名誉教授の言葉で締めくくったものです。もう一篇は、紀元前一世紀、前漢の学者劉向が書いた「新序」にあるエピソードを紹介し、そこにこめられた戒めを現代社会に投げかけたものです。

 2篇のエッセイから言いたいことを抽出する作業は簡単だったようですが、受け手に魅力的に伝えるための表現方法では差が出ました。フロントガラスのエッセイのタイトルでは、「ガラスと卵」「ガラスの卵」「生き物に学ぶ」「やわらかいガラス」など、言おうとしていることはわかるものの、受け手に誤解を招くタイトルが多数ありました。一方、「進化は回帰?」「殻からもらった大ヒント」など、興味をそそるタイトルもありました。

 劉向のエッセイのタイトルでは、「今も昔も…」「見つめる自分」「政治とはなんであろうか?」など、茫洋としていてつかみどころのないものが目立ちました。教授がエッセイのしめくくりに用いた「薬」という言葉を使用したタイトルも多くありましたが、中でも「薬効二千年」、「政治につける薬」は、受講生の皆さんの拍手による投票で上位2位に残り、「薬効二千年」が最優秀に選ばれました。

 タイトルの付け方にもTPOがあります。今回の講義では論文のタイトルは除外しましたが、「三、五、七の単語を使う」「韻を踏む」「格言や慣用句のアレンジ」など、「文章のリズムを整えること」はおおむねのケースで活用していただけるのではないかと思います。新聞や雑誌、テレビ番組のタイトルなどをおもしろがって検証してみる、そうした日々のちょっとした訓練もタイトル作りのスキルを高めるには有効だと思います。

◆当日紹介されたタイトル例◆

  ○演習1

   自然を見習う技術                        

   割れないガラスやさしいタマゴ   

   卵の殻とフロントガラス             

   フロントガラスの卵                    

 

⇒講師 佐々木さんのタイトル案・・・「卵の殻の功名」

 コメント:エッセイの趣旨は、卵の殻が本来持っている機能が、ケガ抑制に繋がるフロントガラスの開発に役立ったというものでした。 「何気なくやったことが意外に良い結果を生むこと」をさす「ケガの功名」という慣用句を用いて、「卵の殻の功名」としました。

 

  ○演習2

   真実は水面に

   政治に付ける薬

   薬効2000年

   過ちを映す鏡

 

⇒講師 佐々木さんのタイトル案・・・「熱烈似たり、王様の耳」

 コメント:エッセイで紹介されていた逸話から、王様の耳はロバの耳を思い出しました。これをモチーフに、エッセイでは中国文学に焦 点を当てていることから、「中国」を連想させる単語を組み合わせました。

 

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